(社):翌日は飛騨高山。高山の古い町並みもさることながら、この「高山陣屋」は圧巻や。田渕君は歴史好きから、こういうところはたまらんやろ。
(渕):へー、それって江戸時代の陣屋なんですね。
(社):そうや。江戸時代の陣屋がそっくり残っているのは、全国でもこの高山陣屋だけなんやって。
(渕):三ツ葉葵ってことは幕府直轄領やったってことか。
(澤):ねえねえ、「陣屋」って何ですか。
(社):え? それはやな、江戸時代の・・・何か役所みたいなもんやろ。
(渕):みたいなって、頼りないな。郡代や代官が地方自治をしたところやから、役所と言うてもいいですけど、行政だけやなくって、司法も範疇ですから、警察署や裁判所の役割もあるんですわ。
(社):そうそう。そやから囚人の護送に使う籐丸籠や取調べをするお白州もあったな。左の写真は会議をする大広間。右の写真は年貢米を積み上げたお蔵。
(澤):けっこう広そうですね。
(社):広い。全部の部屋を見て回ったら結構時間がかかるで。大河ドラマの「篤姫」は絢爛豪華な江戸城大奥が舞台やけど、同時代の地方代官の役所はそれと対照的やな。質実剛健という感じで武士の臭いに満ちてるんや。
(渕):こういうところに悪代官がおるわけですわ。そこへ水戸黄門がやって来て、庭で立ち回りをするというのが、よくある時代劇のパターン。
(澤):「この桜吹雪が目に入らなねぇかっ!」ってね。
(社):ちゃうちゃう。それは遠山の金さんや。水戸黄門は「控おろう!この紋所が目に入らないか」っちゅうねん。しかし、ここだけで水戸黄門、一話分のロケは出来てしまうやろな。
(澤):ふーん。昔の悪者はいろんなものを目に入れさせられるんだ。
(社):言うてることが分からん。
(渕):あ、ここは僕知ってますよ。世界文化遺産の白川郷。合掌造りの家が保存されてるんでしょ。
(社):ピンポーン!
(渕):僕も正解やから、何かもらえるんでしょうか。
(社):田渕君にはこれあげるわ。「さるぼぼ人形」。
(澤):なにこれ? おさるさん?
(社):みたいやな。飛騨一帯のマスコットキャラクターらしい。
(渕):・・・らしいって、由来ぐらい分からんと値打ちないですやん。この日も中日×阪神戦があったんですか。
(社):あったんや。
(渕):長澤クン、高山ラーメンと交換してくれへんか?
(澤):このマスコット、顔がないから、あんまり可愛くないなぁ。私、やっぱり高山ラーメンでいいわ。
(社):なんか、どっちも人気ないねんなぁ。
(澤):いえいえ、ありがたくいただきます。でも、この合掌造りの家にそのまま住んで生活している人もいるんでしょう。
(渕):世界遺産ともなると、ユニットバスにしたいと思っても勝手に改装できませんよね。
(社):ほんまやな。
(渕):明かりはシャンデリアにしたいとかね。
(社):そんな奴おらんやろ。
(渕):それにしても、奥州平泉は世界遺産に認定されずに残念でした。
(社):たしかに、こことか熊野古道、石見銀山が合格で、平泉が不合格というのは腑に落ちんな。どんな基準になってるのやろ。
(澤):社長は石見銀山とか平泉にも行かれたこと、あるんですか。
(社):ない。
(渕):あのね、行ったことないのに何を根拠に不満があるのか、そっちのほうが腑に落ちませんわ。
(社):細かいこと言うな。ともかく次の日は飛騨を離れて岐阜にもどる。西国三十三箇所の第三十三番目、満願の寺谷汲山華厳寺の山門に貼られた千社札や。
(渕):こんなに貼りまくってええんかいな。最近は史跡や歴史的建造物に落書きするアホがおるけど、こういうのは許されるわけ?
(社):どこに貼ってもええワケやない。千社札にもちゃんとマナーがあるんや。
(澤):たとえば?
(社):他人の札の上に貼るとか、カラー札を貼るとか、剥がす時に建物を傷つけるような接着剤を使ったりするのもご法度や。この写真を見てもわかるやろ。みんな整然と綺麗に間隔をあけて張ってはる。それに、ここ以外の大事な建物には誰も貼ってないし。
(渕):まあ、そういうマナーも守れんような奴が参拝に来るわけないですもんね。
(澤):ところで、社長の三十三箇所参りは全部終了ですか。
(社):全部終了やなくって「満願」って言うてくれるか。実は全部行ったことは行ったんやけど、10番札所の三室戸寺は年末に行ったとき閉門してたし、1番札所の青岸渡寺に行ったときは掛け軸を忘れたから、この二寺だけは、もう一遍もらいにいかんならんねん。
(渕):それも頼りない話ですね。
(社):頼りないとか値打ちないとか、お前に言われたないわ!
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